さばぺんタイムス

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ドラマ化から半年。「健康で文化的な最低限度の生活」を今こそ読もうぜ!その1

 「健康で文化的な最低限度の生活」

 

昨年の夏、吉岡里帆さん主演のドラマがあったことを覚えていますか?

 

「誰かのために汗かく、夏。」

 

そんなキャッチフレーズのもとで放映されたドラマでしたが、皆さんはご覧になったでしょうか。

 

こんな記事を書いててアレですが、私、砂漠のペンギンは見ておりません...。笑

 

 

このドラマ、もともとは原作のマンガがありまして。ドラマが放映されてもう間もなく1年が経ちますが、まだまだ連載中。28日には単行本8巻が発売されました。

 

「ドラマが終わったから、原作も別に...」なんてもったいない。ぜひ皆さんにも読んでほしい!ということで、今回は「健康で文化的な最低限度の生活」のご紹介です~。

 

 

もくじ。

 

 

 改めて知っておきたい、「生活保護」ってなーに。

新卒の区役所職員「義経えみる」と同僚たちが、ケースワーカーとして奮闘していく...という物語。

 

ケースワーカー」といっても仕事は様々ですが、このマンガでは「生活保護」に焦点が充てられています。

 

生活保護」って、正直なところあまり良いイメージは無いんじゃないでしょうか。ちょっと前に不正受給がどうこう、なんて問題もよくニュースで取り上げられていました。

 

厚生労働省のホームページでは、

生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。 

 

ということが描かれていますね。マンガのタイトルでもある「健康で文化的な最低限度の生活」とは、日本国憲法第25条に書かれている言葉。日本の国民は、みんなそれなりの生活する権利があるんだよー、ということです。

 

憲法には「勤労の義務」ということも書かれていますから、多くの大人たちは仕事をしています。仕事をするとお給料がもらえますから、だいたいの人はこれでそれなりの生活ができています。

 

でも、たとえば働くのが困難な病気にかかったりなど、いろんな事情で、それなりの生活を送れない人たちがいます。そんな人たちがそれなりの生活を送るために、国はその人たちにお金を支援しているんですよね。それを生活保護といいます。

 

ちょっと前に、「生活保護を不正にもらっている!」というのがよく話題になりました。生活保護は、それなりの生活を「送りたくても送れない」人たちのための仕組みですから、「送ろうと思えばどうにかなる」人たちには支援の必要はない、ということになっています。

 

じゃあ、それをどうやって見極めるのか?それが、ケースワーカーさんのお仕事ということになります。ケースワーカーさんは、生活保護の申請をしてきた人たちが対象となりうるかどうかを見極めるために、その人と直接会って話をしたり、時には家に訪問して住まいの状況を見たり、あるいはその人が今までどのような人生を送ってきたかを調べたりするわけです。これがとても大変な仕事だということは、想像がつきますよね。

 

「変わり者」のオンパレード

世の中にはいろんな人がいます。なぜ、それなりの生活を「送りたくても送れない」状態になっているのかということも、人それぞれ。ケースワーカーさんは、その一つ一つに向き合わなければなりません。

 

このマンガに登場する人たちも、語弊を恐れずに言えば、かなり強烈な方々です。例えば、母親が失踪した孫と二人暮らしをしている認知症のおばあちゃん。例えば、「全般性不安障害」「統合失調型人格障害」「解離性障害」を抱えた金髪の若い女性。「バブルのころは散々遊んだ」と自慢しながらゴミ屋敷に住む中年男性。薬物依存の後遺症で身の周りのことすら満足にできない若い男性。

 

これで、まだまだ序の口です。こんな人たちと、一人一人向き合う仕事です。それぞれに、どんな支援が必要か、あるいはもう必要ないのか...中には、ぱっと見どうみても「普通に生活してそうじゃん?」という人だっているし、ひょっとしたら「不正」を狙っている人だっているのかもしれません。

 

1話で、こんなセリフが出てきます。対応にヘットヘトになっている主人公「えみる」に向けられた、先輩職員の言葉。

この仕事1コ1コ真剣にやってたら身がもたないから、適度に力抜いたほうがいいよ。

この言葉は重い。なにせ、新任のえみるに任された世帯の数は110世帯。先程あげたような人たちに加えて更に強烈な人たちも含めて、110です。職員が、このように考えてしまうのも無理はありませんし、実際そういう部分もあるのでしょう。

 

 

もし、担当していた人が

そんな最中、えみるが担当していた1人の男性が自殺します。彼は自殺の直前、役所に電話をかけてきました。「これから死にます」。

 

いったいどんな対応をすればいいのでしょうか。新任でまだ何も分からない中、「死にます」の電話。周りに聞いても対応は冷ややかです。近所に住む親せきも、「いつものこと」「放っておいてもいいですよ」と取り合ってくれませんでした。

 

しかしその後、男性は自殺するのです。

 

狼狽するえみるに、先程の先輩職員は一言。

まっここだけの話、1ケース減ってよかったじゃん。

 

彼の住んでいた部屋には、どうにか生きていこうという努力の跡があふれかえっていました。えみるはこう思います。

「1ケース減ってよかったじゃん」...110ケースあろうが、国民の血税だろうが、 ダメだ。それ…言っちゃあ、何か大切なものを失う...気がする...

ここで1話が終わります。たとえどんなにしんどかったとしても、「命」に関わる仕事なのだ、ということを、えみるの最後のセリフは気付かせてくれます。

 

なぜ彼は「これから死にます」と電話をかけてきたのか。ここでは理由は分からず終わってしまいました。もし、その理由を知ることができていたら。あるいは、それにつながるような彼の情報を何かしら持つことができていたら。と、思わずにはいられません。

 

どんなことにも、必ず背景がある。先程とは別の先輩職員のセリフに、

ケースファイル110冊、その1冊1冊に、それぞれの事情、それぞれの人生があります。

 というものがあります。この言葉は、とても深い真理をついているようです。

 

 

 

...ということで、今回はここまで!前回「ハコヅメ」の紹介とは全く違うテイストですね!!笑

 

ここまで見ていただけた方はお分かりいただけるでしょうか、非常に読むために体力を要するマンガだなと私は感じています笑

 

しかし、このマンガにはとっても大事なものが詰まっています。

 

文中「変わり者」という表現をしましたが、決してけなすような意図はありません。むしろ、そう呼ばれるような人たちの人生の中にこそ、「生きる」ことの真理が詰まっていると、私は思うのです。

 

最新8巻が28日に発売になりました。そこで描かれる人物のことを、次回で少し紹介したいと思います。

 

それでは、また~。

 

続きは

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