さばぺんタイムス

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「ヒトラーの正体」読みました。民主主義の教科書です

 

ヒトラーの正体 (小学館新書)

ヒトラーの正体 (小学館新書)

 

 

都知事のときのゴタゴタで失脚してしまいましたが、この方の視点は結構好きなんですよ。そんな舛添さんが書いた、ヒトラーの「入門書」です。

 

ヒトラーの生涯をザックリとまとめたのち、彼の掲げた「反ユダヤ主義」、彼の政党「ナチス」の用いた宣伝方法、そして「なぜ大衆はヒトラーに従ったか」といったことについて書かれています。

 

 

民主主義というのを様々な視点から学ぶにあたって、ヒトラーの生涯ほど教科書たるものはありません。よく言われるように、ヒトラーとは「民主主義の生み出した怪物」だからです。

 

彼を語るとき、「独裁者」や「ユダヤ人の虐殺」という視点がとても強調されることが多いですが、彼が首相になったのは民衆の支持があったからだ、ということを忘れてはなりません。

 

結局のところ、「反ユダヤ主義」にしてもその覇権主義的な思想にしても、彼「だけ」が突然唱え始めたものではなかった、ということ。ユダヤ人への迫害に至っては、ヨーロッパ全体がキリスト教勃興時から行っていたものであった、ということ。

 

ヒトラーの思想とは、ヨーロッパのキリスト教徒たちの根底にくすぶっていたものであり、彼はそれを呼び起こし増幅させたにすぎないのだ、ということです。

 

おまけに、ヒトラー台頭前の指導者層は、大衆に人気のある彼をむしろ利用しようとすらしていました。だからこそ、細かいテクニックはあったにせよ、ヒトラーは「民主主義」の名のもとに総統として君臨したわけです。

 

要は、「みんながやれというからやるんだ。俺がやるんじゃなくて、俺を選んだやつらがやるんだ」ってやつ。

 

そして、彼の思想は「雇用創出」「経済回復」によって巧妙にカモフラージュされます。このブログでも何回も言及している、「あのころはフリードリヒがいた」の一文が、そういった社会に生きる市民の声を代弁しています。

 

わたしは、党が要求すること、行うことにすべて賛成だというのでは決してないんです。しかしねえ、...どんな党でも、どんな運動でも、具合の悪い面というのはあるものじゃないですか?

(ハンス・ペーター・リヒター「あのころはフリードリヒがいた」上田真而子訳)

 

この「ヒトラーの正体」でも、そういった市民の声が紹介されています。中には、「ヒトラーの時代が一番よかった」との声すらあります。

 

 

どうしても私たちは、ヒトラーそのものを「絶対悪」とみなし、現代社会と切り離そうとしてしまうことがあります。曰く、「私たちはヒトラーとはちがうんだ」と。

 

そうではなくて、第2のヒトラーを作り出すDNAは私たち自身の中に潜んでいて、気を抜けば今にでも発現するのだということ。そして現代、私たちは、その「民主主義」と呼ばれるDNAを体に宿し生きているのだということ。

 

少しでもいいからこの事実を気に留めておくことが大切なんじゃないかな。そういった気付きを、非常に分かりやすく示してくれる本だと思います。

 

だいたい、苦しんでるときにこのDNAは発現しやすい。だから、今の世の中はマジで危ない。ってことですよ。みんな苦しんでるからね。

 

そう思っているからこそ、舛添さんもこの時期にこういう本を出したんじゃないでしょうか。「民主主義」の世の中だと何が起こるのか、ということが分かる教科書だと思います。読んでみよー。

 

 

ァディオ───(`・ω・´)ノ───ス